今月のこの一句
             平成二十七年三月
 くたくたを通勤電車どっと吐き      正武
 川柳ではオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)がよく課題に出されるが、それを直接詠み込んだ場合、その言葉の情景を説明したような句になりがちで難しい。しかし、これを効果的に詠み込むと味の深い句にすることが出来る。掲句は「くたくた」という課題でこれを詠み込むと同時に、違う擬態語の「どっと」まで詠み込んで朝の通勤風景を見事に表し、共感性の強い句に仕立て上げている。