No.2:「 海外、国内を含めた被災住民の移住計画の策定」終了報告

                    2011年12月15日 藤田 慶喜

@  この課題を取り上げた理由とねらい
東北大震災とそれに関係する福島原発事故は地域住民に大きな被害を与え、その解決のめどが立っていない。移住しなければならないケースが起きており、多くの経済的、社会的な問題が派生している。本研究ではそれらの被害を最小限にし、次世代への問題先送りを出来るだけ避ける計画を検討することとする。

A  プロジェクトメンバー
青木康子、石原幸正、竹内啓介、原 真一、石川演慶、本間敬之、伊藤公一、山内尚隆、遠藤正昭、藤田慶喜(リーダー)

B  実施経過
このプロジェクトは元々メンバーが少なく共同プロジェクトの中で何回か議論して来た。国内での移住については、現在既に行政の支援で「防災集団移転促進事業」が実施されているが、個々の事情を十分勘案する事が最も重要であり、本プロジェクトとして特に付加すべき提言はない。次に海外への移民・移住であるが、これは究極の国際交流であり、大震災の復興に対する提言として纏めるのは難しい。又メンバーの稼働率を考えても無理があるので我々の考察した重要な着眼点を以下に列挙してプロジェクトを一旦終了し、次の機会に譲る事としたい。
@  海外への移民は単に外国へ人が出るというだけでなく、外国からの移民をどう受け入れるかの両面を考えなくてはならない。 従って我が国が国際社会の中で主要国としてどう責任を果たしていくか、国としての基本的な方針が必要である。 現在日本国の方針は明確とは言えないが、世界の各国で移民政策は大変デリケートな問題を含んでおり我が国も慎重に施策を検討する必要がある。
A  世界では出生率が下がって居ても移民で人口を伸ばしている国もある、3Kといわれる仕事を移民に頼っている国もある。 又、移民が増えて、社会保障費の多くが移民に支払われ、その上自分の国が無くなってしまうと真剣に悩んでいる国もある。 幅広く総合的に考えて欲しい。
B  過去のブラジルやアメリカへの移民は、新しい土地の開拓や農業の発展といったニーズが相手国にあったが、今は全く事情が違う。相手国のニーズにマッチし、且つ仕事・職業とセットにするようにしなければならない。この20〜30年間に、多くの日本企業が海外進出し、主に生産工場を作り現地の人達を雇って事業を展開している。これに伴い管理職や現場の監督職並びに作業実務のキーマン達が日本から現地に赴任している。 その中で日本に帰国した後も子供が現地の学校に行き、現地の人と結婚する人も増えている。 企業の海外進出に伴ってこうした人材移転(含む移民)も勘案した施策を検討して欲しい。
C  日本の多くの都市が外国の都市と姉妹都市の関係を結んで来た。これからは移民も含めた人材交流も視野に入れて、関係の強化を図るよう契約の見直しを始めて欲しい。
D  日本の大学は少子化による学生数の減少対策として留学生の増加に注力しているがあまり評判は良くないという、理由は日本で大学を出ても就職が難しいからだそうだ。 移民とは直接関係ないが、その一環として国全体として総合的に改善を考えて欲しい。
E  追記として、今回のような大震災は合理的都市開発をする場合にはいい機会になる、しかし地域社会の複雑な法令、権利関係がその妨げになっている。見直しが必要である。

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