No.4 「第一次産業の復興と国際競争力向上対策の提言」

             2012年3月26日  石原 幸正

1.この課題の狙い
この大災害を契機として、単なる復旧に留めることなく、新しい展望のある復興の実現への転機と捉える。国際競争力のある一次産業へと転身させる機会ととらえる。

2.プロジェクトメンバー
山内尚隆、竹内啓介、原 真一、尾身博武、石川演慶、本間敬之、弓削尚徳、山本 出、遠藤正昭、藤田慶喜。石原幸正(リーダー)

3.趣旨・目標
@  民間活力も活用した産学官で組織する経営基盤のしっかりしたモデル産業・施設を特区構想で被害地に誕生させる。
A  農業・水産業など現在の一次産業を6次産業化するなどして生産性を向上させ、若者にとっても魅力ある産業とする
B  被災地を活気づける目的でIntellectual Center建設を提言する。

4.  基本構想
@   基本エネルギー対策
    ○地熱発電開発、 ○太陽光発電 ○太陽熱・光レーザー開発
A  農業エコタウン構想
    ○水耕栽培  ○大規模稲作開発
B  水産エコタウン構想
    ○養殖事業  ○海洋牧場
C  Intellectual構想

5.  その後の動向(I)仙台エコタウン構想
@  概要
―日本IBM,シャープ、カゴメ、三井物産、伊藤忠商事、東北電力、セブンイレブン・ジャパンなど20社連合
―若林区で津波被害地区23ヘクタール
―野菜類の水耕栽培(10ヘクタール)加工工場(1ヘクタール)
―巨大太陽光発電所(メガソーラー)
―日本IBMは、各種エネルギーの効率を高める仕組みを供給
A  事業費 100億円(日本政策金融公庫、日本政策投資銀行が融資)
B  仙台市は、特区を活用して、対象農家と長期賃貸借契約を結び、事業収入を賃料に充  てる。震災を契機に廃業を考えている農家が多数出ている。
C  仙台市の狙い
スマートグリッドも導入し、スマートシティの実現も行う野心的な計画で、柏市、横浜市などで実験が行われる都市型のモデルより広範囲。
スマートグリッドを徹底的に活用して、発電、給電、蓄電を高効率化して行うと共に、野菜工場の照明器具改良などによる生産コストの圧縮などを総合的に行うことによりコスト削減が可能になると判断する。
D  仙台市で成功すると、農業を含めたスマートシティのモデルケースとなり、他地域でも導入される可能性がある。

6.  その後の動向 (II)ウナギの養殖
@  東大教授 塚本勝巳氏
A  ウナギの生態を追求すること30余年、
B  遂に産卵場所の特定に至る、(マリアナ海)
C  ウナギの養殖は、現在 鰻の稚魚・シラス(レプトセファルス)から行われている   ため、その収穫量が激減して危機の状態にある、
D  東北大学、北海道大学でも、ウナギの精子、卵子からの完全養殖の成功事例が最近報   告されている。しかし、現時点では、健全・良質な精子、卵子の取得(特に量的な)   と効率的な餌の開発が課題とされている。

7.  今後の展開
広大な被災地の社会・生活環境整備、放射能関連処理、瓦礫処理、種々の施設の復旧〜復興作業等々は、政府と地域組織等の懸命な努力で、着々と進行しているが、尚 莫大な予算と時間がかかると思われる。
HEARTの会としては、色々な経験・知識のある会員で、たとえ小さな分野でも、グループを再編してワーキング・グループとして再出発したいと考えています。 

アプローチ
   分科集会形式の講演会を企画し、広くハートの会の会員の参加を求め、その結果に基づい  て勉強会、ワーキング・グループを立ち上げてゆく
 課題案
  A)  ウナギの気持ちが分かりたい
     講師:東京大学・大学院・教授 塚本勝己氏
     狙い:鰻の本格養殖に向けての課題、実用化。
  B)   海洋牧場の現状と今後の課題
      講師:東京海洋大学、農林水産研究所、水産センター、栽培資源研究所等
  C)   農業の6次産業化の理論と実践
      講師・東京大学名誉教授 今村 奈良臣氏【(社)JA総合研究所所長】

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